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寒河江ダム建設工事は、昭和57年度に完成する予定でしたが、国の公共事業工事の抑制策によって大幅に遅れ、ダム建設が竣工したのは当初計画から8年遅れの平成2年11月でした。
このダムの完成によって村山広域水道用水供給事業は、寒河江ダムに使用権を設定し、一日最大239,400立方メートル(山形市の基本水量は26,661立方メートル)の水の供給を受けることになりました。
供給される水は「県水」とも呼ばれ、山形市の給水量は、昭和59年度には暫定給水量として一日2,100立方メートル、昭和60年度から平成3年度は一日3,850立方メートルを受水しました。本格給水が始まった平成3年度は一日14,593立方メートル、平成4年度からは一日18,663立方メートル(基本水量の70%にあたる責任水量)を受水しています。これらの水は南山形配水場で受水し、主に山形市の南西部に配水しています。
南山形配水場
水道水は市民が直接口にするものであり、水質基準に適合しているかの検査は正確かつ高い精度で行い、信頼性を得ることが求められます。山形市上下水道部は、独自で水質検査設備を保有し、水道水の安全管理を行ってきましたが、さらに高精度の検査体制とするため『水道GLP』認定を目指しました。
『水道GLP』は水道の水質検査を実施する機関が、管理された体制の下で適正に検査を実施し、その検査結果の信頼性や精度管理が十分に確立されているかを第三者機関の社団法人日本水道協会が客観的に判断、評価し認定する制度です。
山形市上下水道部は、平成20年9月30日に『水道GLP』認定取得の申請を行い、書類審査と現地審査を経て、平成21年3月24日にこの水質検査体制と、そこで得られる検査結果が、十分な信頼性が確保されていることを保証する『水道GLP』の認定を受けることになりました。
山形市上下水道部では、市民の皆様に安全に安心してお使いいただける水道水をお届けするため『水道GLP』に基づいた精度の高い、かつ信頼性の確保された検査体制のもと、「水源から蛇口まで」万全の水質管理体制を以下のようにとっています。
水源の原水等に変化が生じ、水道により供給される水が水質基準に適合しないおそれがある場合には、上記の検査場所や回数等によらず、臨時の水質検査を行い、水道水の安全性確保に努めるようにしています。
21世紀に向けて現状よりももう一段高い「高水準の水道」を構築するために、生活環境審議会の答申を受けた厚生省は、答申内容を盛り込んだ水道整備10ヵ年計画を策定し、平成3年6月1日付で各都道府県に通知しました。この計画は通称「ふれっしゅ水道計画」と呼ばれ、基本方針として「いつでもどこでも安全でおいしい水を供給する」ための具体的施策を図ることとしています。
見崎浄水場は最上川の表流水を水源としているため、原水の人為的汚染が心配されています。これらの課題に対応するため、高度浄水処理方式を取り入れることにしました。見崎浄水場の高度浄水処理については、「高度浄水処理導入ガイドライン」に従い検討した結果「生物活性炭」を活用した処理方法を導入しました。活性炭は、ヤシがらや木材、石炭、コークス等の原料を薬品やガスで活性化した多孔性物質で、内部表面積が非常に大きいため、微量物質を吸着除去する性質があり、生物活性炭処理は、粒状活性炭に生物を繁殖させ、生物の酸化分解作用と活性炭自体の吸着作用で微粒物質を処理する方法です。
山形市水道部は平成6年度から室内実験を開始し、平成7年度には浄水方法の変更認可申請を行うとともに基礎工事を開始し、平成9年3月に施設整備工事を完了し、同年5月から給水を始めています。
見崎浄水場の高度浄水処理棟(奥)